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東武鉄道について

社会交通工学科1年 今田 真行


概要

 東武鉄道の鉄道路線網は東京、千葉、埼玉、栃木、群馬の1都4県に渡っている。浅草を起点として埼玉県東部を通り、栃木県、群馬県、千葉県に広がる本線は、伊勢崎線、日光線、および野田線の三つの幹線とその支線から成り、通勤・通学輸送を主とする伊勢崎線南部と野田線、また、観光、ビジネス輸送を主とする日光線と伊勢崎線北部に大別される。一方、池袋を起点として埼玉県の中央を西北に伸びている東上線は、沿線の開発が進み、主に通勤・通学輸送の使命を担っている。
 全線の営業キロは463.3キロで、駅数は205。1日平均240万人の旅客輸送を行っている。



車両紹介

100系





 1990年にそれまでの1700・1720系DRCに代わって登場したのが100系スペーシアだ。1989年度、1990年度に2編成ずつ、1991年度に5編成を製造しDRCを置き換えた。東武初のアルミ合金車体となり国内の特急車両初のVVVFインバーター搭載や豪華な内装など今でも見劣りしない設備となっている。また2006年3月18日からはJR新宿に乗り入れ、それに伴い106F・107F・108FにATS-PやJR列車無線などが取り付けられた。


200系・250系








 1800系の置き換え用として平成3年2月より営業運転開始したのが200系。1700・1720系DRCの下回り・一部座席などを再利用している。
207F以降はヘッドライトのHID化・側面表示機のLED化・シングルアーム化が行われ、完全新造の251FはVVVFインバーター制御を採用している。平成11年には「りょうもう」が200・250系に統一されたため、急行から特急に格上げしている。


300系・350系








 平成3年7月に日光・鬼怒川線の急行車両として登場した。飲料水の自動販売機や、カード専用公衆電話を備え、座席は2人掛け回転式固定シートを使用しているのである。現在は、主に特急列車や団体専用列車、季節臨時列車として使用しているほか、平成13年から夜行列車にも使用しており、2編成が就役している。350系は、300系と同じ平成3年7月に宇都宮線と野岩鉄道を経由して会津鉄道の会津田島まで乗り入れる4両編成の急行車両として登場した。現在、特急列車として3編成が就役している。


1800系(1819編成)





 昭和63年3月に、急行車両の増備に伴い、従来の1800系の車両に比べて前照灯を丸型から角型にし、側面に行先表示器を取り付け、車内もホワイト系にして明るくするなど、マイナーチェンジを行った車両だったが、平成9年3月に200系車両への置き換えが完了し、定期運用から外れ、現在は団体専用列車として使用している。


6050系





 昭和61年10月の野岩鉄道の開業に伴い、6000系を更新した車両と、増備用として新造した車両とがあり、急勾配や寒冷地の降雪対応として、抑速、抑圧ブレーキ、砂撒き装置を備えている。また昭和63年には、乗客数増加に伴い、全てを新造した編成が追加されている。途中分割・併合を繰り返すことから平成8〜9年にかけて自動解結装置が取り付けられ、これに伴い連結器が密着自動連結器から密着連結器に変更された。
 6050系が5050系に替わり日光線普通電車に就くにあたり、53F〜56F・73F・74Fに霜取りパンタグラフが取り付けられ、11月15日〜4月15日のみパンタを上昇させて走っている。座席はクロスシートの4人掛けと、出入口部は2人掛けシートを使用し、長距離運転を考慮してトイレを備えており、編成が快速・区間快速・普通列車と幅広く運用している。


8000系





 昭和38年10月から昭和58年3月まで製造された車両で、現在644両が就役している。2,4,6,8両固定があり、当社全線で運用している。昭和61年度からは内装のリニューアルや前面形状の変更等の更新工事を進めていた。また平成9年からは、車椅子スペースの設置、平成11年度からは転落防止用外ホロの取付け、平成13年度からは、空調装置のマイコン化を順次進めている。
 だが2008年より編成単位での廃車が始まっている。


800系・850系

 東上線に配置されている8000系8両固定から中間の2両を抜き、6両を更新工事時に3両固定にしたワンマン対応車両である。編成内の組成の違いから、浅草寄りの3両を800系、伊勢崎寄りの3両を850系とし、館林地区の線区で運用している。


9000系・9050系





 昭和56年12月に就役。東京メトロ有楽町線乗入れ用として製造された10両固定編成で自動界磁制御方式の主回路チョッパ装置を採用した回生ブレーキ付きの車両である。運転台にはモニター装置を取り付けるなど、省エネルギー、省メンテナンス化を実現した車両となっている。また、車体は全面左右非対称型とし、オールステンレス製とするなど、その後の新造車のモデルとなった車両でもある。
 平成12年度からは、空調のマイコン化、平成13年度からは、転落防止用外ホロの設置や吊り革の増設、平成18年度からは、第1編成を除き東京メトロ副都心線への乗入れ工事およびリニューアル工事を行っていた。
 9050系は平成6年12月に登場した車両で、9000型に準じて製造されている。交流電動機を使用したVVVFインバーター制御方式を採用し、省エネルギー・省メンテナンス化を図った。また、車椅子スペースを設けたほか、自動放送やドア開閉予告チャイムを設けるなど、バリアフリーにも対応した車両となっている。平成19年度からは、東京メトロ副都心線への乗り入れ工事およびリニューアル工事を行っていた。

10000系






 昭和58年12月に8000系に替わる後継車両として登場した。界磁チョッパ制御装置を採用して回生ブレーキ装置付きとし、日光線の急勾配区間にも対応するため、抑速ブレーキも備えている。車体は、地上車両としては初めてのオールステンレス製とし、平成13年度からは空調装置のマイコン化や、転落防止用外ホロの取り付け、吊り革の増設等の工事を順次進めている。また、平成18年度よりバリアフリー化工事と室内リニューアル工事を行っている。


10030系・10080系





 昭和63年3月から登場した10000型をマイナーチェンジした車両である。前面をFRPで覆い、外板はビード成型を施しすっきりした仕上げとしている。また、1人あたりの座席幅も広げている。
 平成4年度からの10050番代の車両では、車椅子スペースの設置や空調設備にスイープファンを設けている。また、平成12年度からは空調装置のマイコン化、平成13年度からは転落防止用外ホロの取り付け、吊り革の増設工事を順次進めている。
 一方100080系は、昭和63年3月に10030系とまったく同じデザインで登場した車両だ。主制御器に当社初のVVVFインバーター制御方式を採用しており、4両固定1編成が就役している。13年度には、転落防止用外ホロの取り付け、吊り革の増設をし、平成17年度VVVFインバーター制御装置の更新工事を行った。


20000系・20050系・20070系





 20000系は、昭和63年3月に2000系に替わる東京メトロ日比谷線直通用として登場した8両固定編成車両である。主回路チョッパ制御装置を採用し、回生ブレーキ装置付きとしている。車体は、地上車より短い18m、3扉のステンレス製とし、前面は左右非対称形で、視野を広く取るため大きな1枚硝子を採用している。平成12年度からは、空調装置のマイコン化、平成13年度からは、転落防止用外ホロの取り付け、吊り革の増設工事を順次進めている。
 20050系は、平成4年12月から登場し20000型をマイナーチェンジした車両である。ラッシュ時の乗降時間の短縮を図るための編成、前後2両の5扉化をはじめ、冷房機容量のアップ、車椅子スペースの設置、自動放送装置やドア開閉予告チャイム装置の取り付けなど多岐にわたり改良が加えられた。また、制御方式もVVVFインバーター制御方式を採用し、省メンテナンス化している。平成12年度からは、空調装置のマイコン化、平成13年度からは転落防止用外ホロの取り付け、吊り革の増設工事を順次進めている。
 20070系は、平成8年12月に就役した車両である。20050型とほぼ同等の設備を備えているが、転落防止用外ホロを設置し、また全車を3扉とし、出入り口上部にLED式の車内情報案内表示器を取り付けるなどの改良が加えられた。


30000系




 平成9年3月から登場した東京メトロ半蔵門線と東急田園都市線直通用車両である。当社初のワンハンドルマスコンや車両情報制御装置の搭載、平成14年4月からは、純電気ブレーキ制御方式を取り入れるなど、新しい技術を採用した車両だ。また、空調装置のマイコン化、車内情報案内表示器の設置、一人当たりの座席幅の拡大、車椅子スペースや転落防止用外ホロの設置等、サービス向上とバリアフリー化を図っている。また、50050型の登場により、平成17年度より地上車化工事を順次進めている。


50000系・50050系・50070系・50090系





 50000系は2004年に東上線に登場した。第一編成は、2005年3月16日から営業運転を開始している。東武通勤車初のアルミ車体を採用し、斬新な「シャイニーオレンジ」を纏っている。通勤・近郊電車の標準仕様ガイドラインを考慮した設計となっている一方、中扉締切やヒーターの強力化など、東武独自の仕様も取り入れられている。アルミ合金車体は、遮音性に優れたダブルスキン鋼体で構成され、精度の高い仕上がりが得られるFSW溶接で仕上げられている。車内は白を基調とし、座席モケットはウィステリアパープル、優先席ではコンフォートグリーンとなっている。
 2005年10月に登場した2次車の51002Fは、貫通扉付きの前面となった。同じく2005年10月には半蔵門線直通用の50050系が登場。50000系と50050系との相違点は、車体幅や前照灯・尾灯位置、運番表示機・ATC/S装置の・メトロ誘導無線の設置程度となっている。
 2007年3月には副都心線直通用50070系が登場。LEDはフルカラーとなり、座席モケットは濃青系のキュービックブルーに、乗務員室は副都心線用の機器が装備され、運転台上にはホーム監視用のモニターが並んでいるなど、在来車とは変更されている。
 2008年には東上線のライナー用として50090系が登場。基本的には従来車と同じだが、座席はデュアルシートを採用しクロスシート・ロングシートの両方に転換が可能となっている。外観は一般車との識別のためロイヤルブルーの帯が入れられている。窓が開閉可能となり、強制換気装置が省略された。2008年度増備の51075Fは、窓が開閉可能となったが、強制換気装置も装備している。
 2009年に入って増備された50050系は、窓・化粧板が50090系に準じたタイプとなり、座席も形が変更され座り心地が改善されている。扉には警戒色のライン・開閉サインが付けられ、分かりにくかった手すりも一般的なものになった。行き先表示は従来の50050系同様3色LEDとなっている。



乗り入れ車両

東武伊勢崎線・日光線
  • 東急田園都市線 8500系 5000系
  • 東京メトロ半蔵門線 8000系 08系
  • 東京メトロ日比谷線 03系
東武東上線
  • 東京メトロ有楽町線・副都心線 7000系 10000系  



参考

東武鉄道 http://www.tobu.co.jp/
Kasukabe総合車両センター http://www.krfj.net/kasukabe/


 
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